「東京海洋大学」越中島キャンパス(江東区越中島2)で6月6日・7日、学園祭「海王祭」が開かれ、同構内にあるプラネタリウムの一般公開投影を行った。
企画は、同大の課外活動団体「海事普及会」。今回プラネタリウム投影に使う機器は「五藤光学研究所」が開発した国産初のレンズ投影式中型プラネタリウム「M-1型」。
1965(昭和40)年に設置され、50年たった今でも現役で稼働する国産最古で唯一の機器という。同学海洋工学部の前身「東京商船大学」時代には「天文航法」の授業で使われていたが、今では同大の学生でも見る機会はなく、毎年6月に開催される学園祭で一般公開されるのを楽しみにしているファンも。
経年劣化による不具合が生じていたため、同会メンバーで海洋工学部4年の上松嵩幸さんを中心に3年前から修理に取り組んでいたが、今年3月にすべての惑星投影機能が復活した。
上松さんは「修復作業は、高さ2.5~3メートルのところの狭い隙間から外れたネジを締めたり、分解した機械を調整したりなど困難な作業。うまく回復したと分かった時はうれしかった」と、入学した年から念願だったという修復を成功させた喜びを語った。「今後、貴重なプラネタリウムをもっと多くの人に見てもらいたい」とも。
当日プログラムは、M-1型プラネタリウムの機械の解説、日本では見られない南半球の星座投影、参加者のプラネタリウム操作体験を行う。昨年から始めた操作体験では、希望者が実際に操作をしてプラネタリウム番組を投影できる。1日5回の公開・投影を行うが、45人分ある座席は毎回満席という。
子どもと一緒に参加した近所に住む女性は「レトロなプラネタリウムが良かった。海王祭には毎年来ているが、いつも整理券を入手できず、プラネタリウムを見たのは今日が初めて。見られて良かった」と笑顔を見せる。実際に操作をしたという8歳の女の子は「レバーが重たかったけれど、楽しかった」と初めての操作体験に満足した表情を浮かべていた。
プラネタリウム公開のほか、「江東区民まつり」など区内外のイベントでは「ロープワーク教室」なども行う同団体。海洋工学部3年、同会代表の後藤祐希さんは「こうした体験会などの活動によって海事に関心を持ってくれる人が増えてくれれば」と今後の活動にも意欲をみせる。