芝浦工業大学(江東区豊洲3)の加納慎一郎准教授が研究開発に携わった、身体の状態を可視化するメガネ「JINS MEME(ジンズ ミーム)」が11月5日、発売された。
「世界初、自分を見るアイウエア」をコンセプトに、ジェイアイエヌ(千代田区)と共同開発された同品。「3点式眼電位センサー」と小型の「6軸センサー(加速度センサー・ジャイロセンサー)」を搭載し、瞬(まばた)きや視線移動、体の動きなどを取得。スマホの専用アプリで運転やラン、トレーニングなどの場面でデータを活用できる。
加納さんの専門は神経工学。現在、脳の活動から人が何を考えているのか、などを検出したり、脳と外界とをつなぐインターフェースを開発したりするなど、「ブレイン・コンピュータ インターフェース(BCI)」の実現に向けた研究を行っている。
開発のきっかけは2010年、同社の田中仁社長が東北大学の川島隆太教授を訪問したことから。田中社長から「面白いメガネを作りたい」との打診があった川島さんは、共同研究を行っていた加納さんをメンバーに誘ったという。
加納さんは、従来ある目の上下と左右のこめかみに電極を着けて行う4点計測法に代わり、左右の鼻柱と眉間に電極を配置して計測する3点での検出技術を開発した。
「目は心の状態に導かれ感情が出てしまうところ。そこから眠気や心の疲労も推定できるのでは、と考えた」と加納さん。ドライバーやオフィスワーカーの「その時の状態」を客観視するアイテムとして特に有効では」とも。
同品の現物を初めて手にした時、「笑っちゃった」と話す加納さん。同時に「後戻りはできない」との覚悟も抱いたという。「やはり交通事故を減らしたり、オフィスワーカーの健康管理に役立ててもらったりしたい。生体から出る反応を身近に感じてもらい、自分を省みるチャンスとして、自分の体や心に興味を持ってもらいたい」と期待する。
種類は「ES」=3点式眼電位センサー、6軸センサー搭載と、「MT」=6軸センサーのみ搭載の2種。価格は「ES」=3万9,000円、「MT」=1万9,000円。