清澄白河のギャラリー「無人島プロダクション」(江東区三好2、03-6458-8225)で現在、「西村健太展 SUBLIMATE」が開かれている。
出展作家の西村さんは佐賀県出身。個性的な講師陣が多い美術・芸術専門学校「美学校」(千代田区)などで学び、同校のクラス「天才ハイスクール!!!!」の一員として、各種展覧会に参加。今回は自身の個展としては2回目。「消えてゆくもの、忘れられるもの、気付かれないもの」を素材として使用するスタイルで、これまで自身の精子をはじめ、入浴剤やカーペットクリーナーなどを用いた作品を制作している。
今回のテーマは「風化と昇華(SUBLIMATE)」。メーン作品は、消臭芳香剤を素材に使用した「モニュメント」。米国のモニュメント・バレーをかたどり、型に液体芳香剤、水、ゲル化剤など計約8リットル分を流し込み、約1週間かけて固めたゲル状の立体がひときわ目を引く。展示台には立体を囲むように、およそ9キログラムの消臭ビーズが敷き詰められており、会場内にはせっけんのような香りが広がっている。。
同作品で、地表が徐々に削られていく自然現象を表現し、災害なども人々が抱く意識や関心、記憶などが時とともに薄れていくという「風化」の意味も。また、ただ薄れるだけでなく、その下に新たな姿があるという希望も込められている。さらに消臭芳香剤を使用することで、「昇華現象」で人工的な香りが放たれながら、刻々と形が変化する点も考えられている。
このほか、西村さん自身の血液で印刷したシルクスクリーン作品「アニバーサリー」も展示。自分では決して書くことができない「出生・死亡届」をモチーフにしている。
7月5日まで。