深川東京モダン館(江東区門前仲町1)で1月4日、「広井政昭 江戸独楽展」とスタンプラリーが始まった。
1月15日まで開かれる同展。「江戸曲独楽(きょくごま)」は、江戸時代に考案された曲芸用の独楽。からくり独楽は、職人のアイデア次第でさまざまなデザインや動きを楽しめるもので、近年は、ぬくもりのあるデザインと凝ったからくりで国内にとどまらず海外からも高い評価を受けている。
広井さんは1935(昭和10)年生まれ。区内・大島の独楽師の家の4代目として、10歳のころからコマ作りを始めた。米・シアトル市の名誉市民の称号や、仏・パリ装飾芸術美術館(ルーブル宮)に作品が展示・永久保存されている。
同展では、広井さんが製作した江戸曲独楽とからくり独楽を約70体展示する。会場に設置するコマ回し体験コーナーでは、始めてコマに挑戦する子どもたちの姿も見られた。からくり独楽はそれぞれユーモラスで異なる動きをするため、大人や外国人の来場者も、実際に触って遊び、それぞれの個性的なコマを楽しんだ。広井さんは、「独楽はあくまでおもちゃ、遊んでもらったらうれしい」と話す。
商店街と連携した「スタンプラリー」も同時開催する。同館副館長の龍澤潤さんが企画したスタンプラリーは、広井さんが特別に作成したからくり独楽を、深川仲町通り商店街の店舗を中心に51体展示。商店街の各店や神社などそれぞれの特徴にあわせ、デザインやからくりが異なる。
スタンプを集めると、広井さん特製のミニ独楽などの景品を進呈する。 1体の作成に丸1日以上かかり、納期も限られていた製作だが、広井さんは「メガネ屋さんやコンビニエンスストアまで、その店舗に合わせた独楽を考え、作ることは楽しかった」と目を細める。
龍澤さんは「門前仲町という江戸の下町風情が色濃く残るこの地域に、昔から縁起が良いと言われる独楽がなじむと思った」と話す。「開催しただけで満足してはいけない。実際に街を周遊する人を増やし、少しでも人の流れを作り出すことが目的。このような地域商店活性事業は、定期的に続けていかなければならないと思う」とも。
スタンプラリーは1 月18日まで。5日は休館、13日は臨時開館。