清水建設技術研究所(江東区越中島3)のビオトープで子育てをしていたカルガモが6月5日ごろ、豊洲運河に巣立った。
「10年後を準備する」をキーワードに、まちづくりやインフラ整備に関わる「提案型」の技術開発やイノベーションを行う同施設。
ビオトープは豊洲運河に隣接しており、「万葉集」にも詠まれる常緑樹がある最上階の「万葉の里」と、同施設中央に約2000平方メートルの「再生の杜」の2カ所。約120種、600本以上の植物が植えられ、これまで300種類以上の生物が確認。都市開発の中でのヒートアイランド現象の緩和や自然生態系回復・保全の研究などに役立っている。
技術広報グループ長の高木健治さんは「ビオトープでは、豊洲運河の湾岸エリアにはどんな生物が生息するのかなど、建物だけではなく新しい自然環境を作り込むため、さまざまなケースの実験や観察を行っている。そこから得られるデータやシミュレーションを取引先への提案につなげている」と話す。
今回カルガモが飛来し、子育てを行ったのは「再生の杜」。5月の下旬に姿を現し、池にある浮島に巣を作った。10個中4個の卵がふ化し、かわいらしいカルガモの親子がビオトープでの生活していた。
主任研究員の林豊さんは「2007年春からカルガモが飛来し、毎年1・2回はふ化している。今回の親子の中で1羽とても元気なひながいて、みんなは母親の後ろについて泳いでいるのに、自分だけ列を離れてアメンボを追いかけて遊んでいた」と振り返る。