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清澄白河ギャラリー発のグラス、独デザイン賞受賞 ジャスパー・モリソンさんデザイン

ANDO’S GLASS

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 清澄白河エリアにある「ANDO GALLERY」(江東区平野3、TEL03-5620-2165)の安東孝一さんがプロデュースした「ANDO’S GLASS」が「ドイツデザイン賞2016」で金賞を受賞した。

素朴でシンプルなモリソンさんのスケッチ

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 2008年に開廊した同ギャラリーは、近年「アートの街」とも呼ばれる同エリアをけん引する存在。絵画やインスタレーションなど、国内外の若手現代美術作家の作品を紹介している。「その時代に生きる才能のある人を応援したい」と安東さん。

 「ドイツデザイン賞」はドイツデザイン協会が選定するデザイン賞で、すでに国際的な賞を受賞した作品群からノミネートされるため、「賞の中の賞」とも呼ばれる世界でも権威のある賞。今回はおよそ3400作品のノミネートから同グラスを含め40作品が選ばれ、2月12日にフランクフルトで表彰式が行われた。

 そもそも、ギャラリストである安東さんがプロダクトに携わったきっかけは「カレンダー」。知人デザイナーが毎年配っていたものが手に入らなくなったため、「自分のために作ろう」とアートディレクターの葛西薫さんに相談したことから。シンプルで使いやすく美しいカレンダーを作り、それまで文房具店や書店の市場から「インテリアになるカレンダー」という販路を作り、インテリアショップや家具店などでの販売に成功した。

 プロダクト2作目として考えられた同グラス。「誰の家にもあるから」との理由からグラスに決めた。「普段使いできるシンプルなグラス」とのコンセプトの下、安東さんが作品の椅子を見て「美しいデザインをする人」と感銘を受けた世界的デザイナーのジャスパー・モリソンさんへデザインを依頼。葛西さんとのつながりから面会のきっかけを得た際、「グラスをデザインしてほしい」と直球でアプローチしたという。

 安東さんの申し出に快諾し、自転車を走らせ打ち合わせにやってきたというモリソンさん。「誰でも使えるもの、買えるもの」「一つのデザインでS・M・Lのサイズ」とのオーダーに約半年後、ジャスパーさんから「自信作」という1枚のスケッチが送られてきた。通常、グラスなら当然の「スタッキング」の機能を排除したデザイン。「サイズなど何も書いていなかったが、自信作というなら、とOKを出した」と話し、「S・M・Lのオーダーに対しては『No』 との返事だった。『ファミリーならいいよ』といった哲学的な答えが返ってきた」と安東さん。結果、背の低いショートタイプとすらりとしたトールタイプの2種類になった。

 製造を担当したのは「松徳硝子」(墨田区)。吹きガラス職人による「薄吹き」は厚さ0.9ミリと、世界トップクラスの技術で定評がある。1枚のスケッチから「プロダクトデザインの命」ともいわれる金型を起こし試作を重ねたが、やはり「厚さ」が問題となった。「0.9ミリではアイデンティティーが無くなってしまうし、1.5ミリではフォルムが強過ぎて機械製品と変わらなくなる」と思案し、厚さは1.2ミリに決定した。

 通常、1回目のサンプルで決定することはまれだが、同グラスは最初のサンプルでモリソンさんからOKが出た。「こんなことはまず考えられない」と安東さん。パッケージデザインは葛西さんが担当し、2014年3月に発売。価格は共に1,800円。通常「5000個売れれば上等」といわれるグラス製品の中で7000個を販売したという。

 安東さんは「若い人たちにも、このグラスで生活を楽しんでもらって、心を豊かにしてもらいたい」と話す。

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