深川の臨川寺(江東区清澄3)で11月15日、尺八奏者・今井雄介さんの演奏会「お寺で聴く邦楽の夕べ」が開かれた。
同会は、以前、同寺で演奏経験がある琵琶奏者・櫻井亜木子さんの呼び掛けがきっかけ。事前に住職夫妻の前で演奏し、自然な音色と響きが同寺のホールにマッチしたことから実現した。
もともと「縦笛が好きだった」と話す今井さんは小学生のころ、水道管の尺八と出合い、その音色に引かれ、以来約18年、尺八一筋で演奏してきた。「尺八は時代劇のイメージがあるが、実際に聴いた人からはイメージが変わるという話を聞き、新しい面を知ってほしいのでやりがいを感じている」と話す。今井さんはNHKの番組や韓国をはじめ海外でも演奏している。
当日は、今井さんの得意とする「鶴の巣籠もり」や、櫻井さんの語りが入った「笛吹童子」など、なじみのあるメロディーに会場内の聴衆が聴き入った。最後には、テクニックが多用される「摩切り」も披露。ササが揺れる様子も尺八の音色で表現された。
当日、住職の母親が95歳の誕生日だったため、バースディー曲を尺八で演奏するサプライズも。会場を沸かせ、母親も喜びの言葉を述べた。
府中から来たという男女は「以前尺八を聴いたことがあり、楽しみにして来た。テクニックもすごいが、この会場も素晴らしいし、また聴きたい」と話していた。
同寺関係者は「これからも演奏会などを多角的に催していきたい」と話す。