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東京海洋大が重要文化財「明治丸」特別公開 「海の日に合わせ」1日限定で

今年3月の大規模修繕を終え、白く美しい姿となった「明治丸」

今年3月の大規模修繕を終え、白く美しい姿となった「明治丸」

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 東京海洋大学(江東区越中島2)が「海の日」の7月20日、重要文化財「明治丸」で1日だけの内部特別公開を行う。

船内の様子

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 毎年「海の日」に記念行事を開いている同大。今年は「船が開く明治」と題した商船教育140年記念展示のほか、ミニクルーズなど、海に親しむイベントを行う。今年の目玉は、3月に修復工事を終えた重要文化財「明治丸」。これまでは外からの見学のみだったが、外観・内部共に修復工事を終え、秋以降の一般公開に先駆け、内部を一部特別公開する。

 明治丸は明治政府が英・グラスゴーの「ネピア造船所」に燈台(とうだい)業務用として発注。1874(明治7)年に完工した鉄船(現在の船はすべて鋼船)は、翌年横浜に回航。特別室やサロンを備えた豪華な仕様の船で、明治天皇をはじめ、多くの高官が乗船したロイヤルシップとしての役目も果たした。

 中でも1876(明治9)年、明治天皇の「奥羽巡幸」の帰途に青森から乗船され、函館を経由して7月20日に横浜に安着したことを記念して、1941(昭和16)年に「海の記念日」が制定され、1996(平成8)年に国民の祝日「海の日」となっている。

 1875(明治8)年、小笠原諸島の領有権問題が生じた際、日本政府の調査団を乗せて出航した同船は、英国船よりも早く小笠原に到達し、領有の基礎を固める役割を果たした。小笠原諸島が日本の領土となり、後の沖ノ鳥島、南鳥島の領有を含め、現在の排他的経済水域の3分の1に当たる約150万平方キロメートルを確保することとなり、「海洋立国・日本」の礎となった。

 1896(明治29)年に「商船学校(同大の前身)」に譲渡され、係留練習船として1945(昭和20)年までの50年間に、約5000人の学生を乗せた。1978(昭和53)年、わが国に現存する唯一の鉄船として、鉄船時代の造船技術を後世に伝える貴重な遺産として国の重要文化財に指定された。

 同大・明治丸海事ミュージアム館長の岩本勝美さんは「11月の一般公開では明治丸船内に関連資料等の展示を行う予定。今は修復を終えたばかりで、明治丸の構造を見ることができる貴重な機会、多くの人に見てほしい」と呼び掛ける。

 開催時間は10時~16時。入場無料。「明治丸海の日特別公開」は同日整理券を配布、先着順。

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