木場で歌集の出版記念イベント-エープリルフールに「うそつき」の才能競う

山口文子さん

山口文子さん

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 木場のギャラリー「EARTH+GALLERY」(江東区木場3、TEL 03-3630-1655)で、山口文子さんの歌集「その言葉は減価償却されました」の出版記念イベント「嘘(うそ)つきのさいのう」が開催される。

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 短歌結社「りとむ」の小中学生向けコーナー「小りとむ」に、中学生のころから短歌を投稿し続けた山口さん。2001年、「りとむ」に入会。大学卒業後、広告会社に勤務するが映画製作の勉強のため退職。東京芸術大学大学院・映像研究科・映画専攻の脚本領域で映画製作を学び、現在も短歌制作とともに映画製作活動に携わっている。

 同歌集は、角川学芸出版より今年2月に発行。山口さんが14歳~28歳に詠んだものから298首を収めている。堅苦しい短歌ではなく、山口さんの目から見た日常の何気ない瞬間や疑問を飾らない言葉で表現している。

 同イベントは、山口さんの就職活動時に詠んだ1首、「嘘吐きの才能もまた量られる適性検査の YES or NO」になぞらえて企画。当日は 「今までについた、もしくはつきたい最高の嘘」を来場者に記入してもらって壁に貼り出し、イベントの最後にその中の1位を決め発表する。

 山口さんが脚本を手掛けたものを含む、映画仲間が製作したショートフィルムの上映や、同歌集に頻出する単語「嘘」「言葉」「ルピ」「ピンク」の4単語を掲示し、実際に同歌集の中からその単語が使われている短歌を探し読むなどの企画を行う予定。

同歌集は、「すべやかな男の温度われよりも低かりしこと未(いま)だにあらず」をはじめ、女性の心情や恋心が詠まれたものや、「こでまりがポポポと咲いてゆれているあのかどまでは泣かずにゆこう」など、読者に状況を想像させるものなど、短歌の基本を抑えつつも、自由な発想で詠まれている短歌が多く収録されている。

 同書籍のタイトルにも引用されている巻末の1首、「その言葉は減価償却されました新たに産んでみせてよ私を」については、山口さんは、「何気なく使った多くの言葉が、単なる記号のようになってしまい、言葉の意味は薄められて摩耗しているように思う。言葉に向き合い続けてきた中で、言葉の重みをいま一度大切に考え、自分への自戒も込めて詠んだ」と話す。

 中学3年間、ほとんど学校に行かなかったという山口さん。中学に入り、上下関係などを含む人間関係に違和感を覚え、なじめずにいたとき、短歌と出合い居場所ができたと振り返る。映画に興味を持ったのも同時期で、「短歌は自分に居場所を与えてくれて、映画は世界が広いことを教えてくれた」。

 同歌集の出版に際し、「自分を支えてくれた短歌への恩返しのようなもの。限られた人だけの趣味と思われがちだが、思いがしなやかに表現できる、とても優しく強い詩形だと思っている。これまで短歌を知らなった方に、少しでもなじんでもらえれば」と、短歌への思いを語った。

 開催時間は15時~22時。嘘つき料(入場料)は1,000円(1ドリンク付き)。

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