仙台堀川公園内にある「旧大石家住宅」(江東区南砂5)で2月7日、かやぶき屋根のふき替えが行われた。
推定19世紀半ばの建築という同住宅は、区内で最古の建造物で江東区指定有形文化財。大石家はかつて、農業と漁業を行っており、大正時代にはノリの養殖も行なっていたという。元は東砂8丁目にあり、海や川に近い立地のため、水害対策として屋根裏部屋が広く、浸水時には避難できる造りになっている。
吹き替え工事は、根元建設(平野1)と熊谷産業(宮城県)が担当した。移築当時のかやぶきの状態に限りなく近づくよう、隅からふき始め、下地竹から麻縄を使いながら要所ごとに押さえてふく「平葺 丸葺工法(ひらぶき・まるぶきこうほう)」で工事を行った。使うヨシは宮城県の石巻産で3トントラック2回にわたり運び入れた。工事担当者は「海水と淡水が交わり合う汽水域の物で、細いが結構強いヨシで良い材料」と話す。
ボランティアによって毎日いろりに火を入れていた同住宅ではふき替え当たり、外側の傷んだカヤの下からごげ茶色の燻(いぶ)されたカヤが出てきた。同担当者は「カヤにとっては防虫などの効果が出てとても良い。状態が良い物は残す」と話す。
工事は3月31日まで。4月1日から一般見学を受け入れる(土曜・日曜10時~16時)。