清澄白河エリアにある浄土宗の寺院「雲光院」(江東区三好2)で2月4日、「あおい落語会」が行われた。林家つる子さんの二つ目昇進の口上が行われ、柳家さん喬さん、林家正藏さんとともに観客を魅了した。
今回で62回目を迎える同企画。開演の1時間前からすでに席を取り、喫茶ルームでは談笑する観客の姿も見受けられた。当日が立春ということもあり、「縁起のよい食べ物だから」と服部光徳住職がいなりずしを勧める場面も。会場はおよそ170人、満員となった。
開演後、席亭として住職のあいさつ後、前座として柳家小はぜさん、続いてさん喬さんが高座に上がった。さん喬さんはマクラ(話の導入部分)で、正藏さんと4年半前から2人会を行っていることや、同寺で行う寄席では必ずつる子さんが前座を務めていたことを振り返った。正藏さんが2015年度の文化庁芸術祭優秀賞を受賞したことにも触れ、「後で高座に上がったら『おめでとう』と声を掛けて」と後輩への優しさを見せた。
本来、二つ目昇進で口上は行わないが、特別に行われたつる子さんの口上では、つる子さんと師匠の正藏さん、さん喬さん、服部住職が登場。つる子さんは中央大学の落語研究会に所属していたころから同落語会と関わり、「プロとして初めて噺(はなし)をしたのが雲光院。感慨もひとしお。これから恩返しをしていく」と決意を新たにした。
師匠の正藏さんは「(二つ目になったとは)花嫁修業をさせて、お客さまに嫁がせたようなもの。どうぞもらってください。返品は姉だけで結構です」と笑いを誘いつつ、弟子を思う温かなあいさつをした。服部住職が「うちは阿茶局様の寺ということで女性の寺。そのため、今回は礼装にした」と話すと、さん喬さんから「うちの弟子の時は略式ね」と突っ込みが入り、会場には笑いの渦が巻き起こった。
再び高座に上がったさん喬さん。落語「酢豆腐」を披露し、臨場感あふれる語り口調・演技で観客を引き込んだ。トリを務める正藏さんが高座に上ると、「おめでとう」の掛け声がそこかしこから上がり、「みなさん、ちゃんと言いつけを守って偉い」と照れ隠しの様子も。父親・初代林家三平のギャグも織り交ぜつつ、落語「鴻池の犬」を人情味あふれる語り口で披露した。
次回開催は5月16日。