東京都現代美術館(江東区三好4)で7月18日から、「オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男」が始まった。
オスカー・ニーマイヤーは1907年、ブラジル・リオデジャネイロに生まれ、ブラジル国内の主要な建築の設計を手掛けた建築家。ユニークな創造性で内外から高い評価を受け、「アメリカ建築家協会ゴールドメダル」「プリツカー賞」「高松宮殿下記念世界文化賞」など数々の建築賞や「レーニン国際平和賞」を受けた。
ブラジルの「モダニズム建築の父」とも呼ばれ、2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を続けた。同展では、ニーマイヤーのほぼ1世紀に渡る建築デザイン活動の全容を、図面、 模型、写真、映像などによって紹介。日本での初の大回顧展となる。
ニーマイヤーは1947年、アメリカ「ニューヨーク国連本部ビル」の設計や、1950年代にブラジル首都・ブラジリアの「国民会議議事堂」「大聖堂」など、主要な建物設計に携わり、創造性豊かな都市を造り上げたた。功績は建築という枠を超えた歴史的イベントとして、ブラジルの名を広く世界に知らしめることにつながり、1987年、ブラジリアは世界遺産に登録されている。 「建築にとってアートはとても大切」と語るニーマイヤーのデザインは、フリーハンドの大胆さと自由さがあり、女性の体に例えられるように有機的でダイナミックな曲線、生命感とモダニズムの幾何学の調和を特徴としている。
同展では、ニーマイヤーの代表的な建築物をさまざまなサイズの模型で展示。代表作の1つである、「イビラプエラ公園」1/30分の模型を約500平方メートルのアトリウム空間でダイナミックに展開する。会場デザインはニーマイヤーに大きく影響され、彼を敬愛してきた日本の建築家ユニット「SANAA」が担当。 ブラジルの光をイメージさせる白を基調に、 ダイナミックでモダンながら、有機的な曲線で会場を構成する。 ニーマイヤーの日常や創造の秘密を垣間見る映像資料、壮絶ともいえるブラジリア建設の詳細なドキュメントも展示する。
広報担当の中島さんは「ニーマイヤーは日本の建築家にも多くの影響を与えてきた。 2016年のリオデジャネイロ五輪の開催を前に、日伯外交樹立120周年を記念して、偉大な建築家の軌跡を見てほしい」と話す。
開館時間は10時~18時(入場は閉館の30分前まで)。観覧料は、一般=1,100円、大学生・65歳以上=800円、中高生=600円、小学生以下は無料。10月12日まで。