亀戸の石井神社(江東区亀戸4)で9月27日・28日、「おしゃもじ様と芋祭り」が行われた。
同社は、弘仁2(811)年、弘法大師により発見。通称「おしゃもじ稲荷(いなり)」と呼ばれている。由緒書によると、石器時代より石棒を祀(まつ)る神社として同所に存在していたと伝えられ、石棒を祀る神社を「石神(しゃくじん)」と呼ぶことから、その呼び方がなまって「しゃくし」となり、しゃもじを奉納するようになったという。「石神(せきしん)」と呼ぶこともあり、「咳(せき)」と同音であることから咳の病を治すご神徳があると信仰されてきた。
参詣の流れは、神社からしゃもじを1本借りてきて自宅でご神体として拝み、病が直ればお礼に新しいしゃもじを1本添えて、借りてきた元のしゃもじとともに2本返納するというもの。1945(昭和20)年、戦火で社殿が消失し、現在は小祠(しょうし)のみ残っており、高さ160センチある巨大なしゃもじが祀られている。
毎年9月28日を例祭日とし、町内の住人がサツマイモを奉納し、参詣者に振る舞う。例祭は「おしゃもじ様と芋祭り」という通称で親しまれ毎年、この日の参詣者にはお札、ふかしイモ、しゃもじなどが授与される。
宮司の椎名香都夫さんは「今年は台風も来ず、晴天に恵まれて大勢の人が参詣に来られてうれしい。みんなにご神徳があれば」と話す。同社奉賛(ほうさん)会の会長・田中節子さんは「ここは咳の病を治す神として有名。ぜひとも多くの人に知ってもらいたい」と期待する。