亀戸天神社(江東区亀戸3)で4月18日から、毎年恒例の「学業講祭 藤まつり」が行われる。
同社は1661(寛文元)年、太宰府天満宮(福岡県)の神官が「天神信仰」を広めるため諸国を巡り、江戸の本所亀戸村に飛梅(とびうめ)で彫った天神像を奉祀(ほうし)したことがはじまり。1662(寛文2)年、太宰府天満宮に倣(なら)い、社殿、楼門、回廊、心字(しんじ)池、太鼓橋などを造営。その際、同社の初代宮司が海抜0メートル地帯の低湿地であるこの土地に、水を好むフジを植えたといわれている。
江戸期より、同社の「藤見」は庶民の初夏の行楽の一つ。当時は、江戸市中から横十間川(よこじっけんがわ)を舟で上りやってきたという。江戸随一のフジの名所として、絵師・歌川広重も錦絵「名所江戸百景」で「亀戸天神内」とのタイトルで太鼓橋を背景にフジの花房を描いている。現在でも「新東京百景」に選ばれている。
同社の神官は「天神様というと『ウメ』の印象が強いが、このお宮は『花の天神様』として知られ、ウメ、フジ、キクと季節によっていろんな花に彩られる」と話す。
同まつりには「学業講祭(がくぎょうこうさい)」という真意がある。初春、受験などで天神様のご神徳を預かりに来た人に、「新たな道に進み一段落着いたこの季節に藤を眺めつつ、お礼参りも兼ねて、今後の学業成就のお参りに来ていただきたい。その一環としてまつりを楽しんでほしい」というもの。
昨年の人出は延べ20万人。同まつり期間中、江戸の伝統芸能をはじめ、日本文化に触れられる催し物を開く。茶会や生け花展をはじめ、江戸囃子(はやし)やみこ舞、相撲甚句、子ども太鼓などのほか、津軽三味線や阿波(あわ)踊り、琉球三線(さんしん)など、地方の伝統芸能なども披露される。境内には露店が30軒ほど並び、夜には境内がライトアップされる。
ライトアップの時間は日没~24時。5月6日まで。