東京都現代美術館(江東区三好4)で4月11日から、「他人の時間」展が開催される。
東京展示を皮切りに、大阪、シンガポール、ブリスベンを巡回する同展。アジア・オセアニア地域の若手を中心としたアーティストおよそ20人による作品を、各館のコレクションを交えながら紹介する。
同展が開催される各国では、1990年代からアジアの現代美術に関する紹介や研究が継続的に行われてきた。今回の共同作業は、「各国それぞれのアジアに対するまなざしをどのように更新することができるのか」という問いを出発点として、他者との境界を揺るがし続ける多元的な歴史や、相互的に作用しながら変容する社会について探る作品を通じて、お互いや自らをどのように認識しているのかを問うことを目的としている。
紹介されるのは、1970年代~80年代生まれのアジア・オセアニア地域の若手作家たちが中心。一見かけ離れているような文脈を、「しなやかな視点」で接続するアーティストたちの考察など、同地域の新たな美術の動向を垣間見ることができる。
作家は、歴史やアイデンティティーの開かれた語り口を、絵画を通じて模索するサレ・フセインさんをはじめ、出稼ぎ労働者としての旅を通じて、グローバル経済を維持する過酷なシステムをユーモラスかつコンセプチュアルに提示するプラッチャヤ・ピントーンさん、その他、身近な出来事や関心事から今考えるべき問題を軽やかな切り口で提示する作家の仕事を紹介する。
同館広報担当の中島さんは「作品を通じ、身近な他人や遠く離れた他人、そして他人との関係性を新たな視点で見ることで、今ここに生きる『わたし』のあり方を考えるきっかけとなれば」と話す。
開館時間は10時~18時(入場は閉館の30分前まで)。月曜休館(5月4日開館、同7日休館)。観覧料は、一般=1,000円、大学生・65歳以上=800円、中高生=600円、小学生以下は無料。6月28日まで。