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木場の鮮魚店「魚松」が閉店 1世紀の歴史に幕

店頭に立つ3代目・古畑力雄さん

店頭に立つ3代目・古畑力雄さん

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 永代通り沿い、木場駅すぐにある鮮魚店「魚松」(江東区木場5、TEL03-3641-7245)が1月30日に閉店する。

評判の刺し身

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 創業は1907(明治40)年。3代目店主・古畑力雄さんの祖父・松太郎さんが興し、自分の名前から一字取って命名した。

 関東大震災、第2次世界大戦などの苦難も経験。1945(昭和20)年の東京大空襲では、家族でなんとか逃げおおせたものの、同店周辺は全て消失。町内の3分の2の人が亡くなったという。力雄さんは「火の粉が吹雪のように舞っていたのを覚えている。小松川(江戸川区)の親戚の家に身を寄せるため明治通りを歩いた時の惨憺(さんたん)たる様子は今でも忘れない」と話す。

 古畑一家が木場に戻ってきたのは1949(昭和24)年。祖父と、父で2代目の一郎さんとともに同店の立て直しに尽力した。「木場に戻るまで、本当に貧しくて苦労した。だから、多少のことではつらいとは思わない。自分の人生であのころの苦労がプラスになった」。

 新鮮・良質な魚介類を仕入れ、切り身なども大きく「刺し身がうまい店」と評判になり、売り上げを伸ばして1988(昭和63)年には自社ビルも建てた。しかし、外食産業の台頭や、スーパー・コンビニなどができ、少しずつ売り上げが減少。近隣に大型商業施設が開業し、売り上げが半分になったという。「お客さんも代替わりしてしまって、若い人はやっぱりスーパーなどに行ってしまう。それでもなんとか頑張ってきた」と振り返る。

 単一商材での小店舗の状況は厳しく、「やはり一度に全てがそろう便利な所で買い物をしてしまう」とも。4代目の長男・公平さんと頑張ってきたものの、売り上げは年々下降線をたどり、加えて力雄さんが今年81歳を迎えるということで閉店を決断した。「自分でも寂しいが、気力も体力も限界。精いっぱいやってきたので、思い残すことはない」と力雄さん。

 常連客からは「おいしい刺し身が食べられなくなる」と惜しむ声が上がる。「長年卸していた屋形船からは『困る』と言われた」と力雄さん。今後は、船宿への刺し身の卸のみ対応するという。

 「今まで仕事ばかりやってきて、何の趣味もない。だから何か見つけてこれからの残った人生を楽しみたい」と晴れやかな顔で話した。

 営業時間は11時~19時。

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