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亀戸船橋屋でトークショー 作家・吉川英治さんの息子が登壇

船橋屋7代目渡辺孝至さん(左)と吉川英明さん(右)。二人の頭上に吉川英治さんが揮毫(きごう)した船橋屋の看板がある

船橋屋7代目渡辺孝至さん(左)と吉川英明さん(右)。二人の頭上に吉川英治さんが揮毫(きごう)した船橋屋の看板がある

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 くず餅を看板商品に掲げる「船橋屋」亀戸天神前本店(江東区亀戸3)で2月21日、作家・吉川英治さんの長男・吉川英明さんを招いたトークショーが行われた。

吉川英治さんが揮毫した看板

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 船橋屋と吉川英治さんとの縁は戦後に生まれた。第二次世界大戦で全焼した店舗を1953(昭和28)年に再建した際、6代目の渡辺達三さんが看板の揮毫(きごう)を誰に依頼するかを考えたことから。周囲からは「時の鳩山一郎総理にお願いいては」などの助言もあったというが、達三さんは「宮本武蔵」や「新平家物語」を執筆していた吉川英治さんの作品や随想に感銘を受け、依頼したという。

 トークショーは吉川英明さんと7代目渡辺孝至さんの「息子同士」で行われた。渡辺さんから「吉川先生は以前から船橋屋を知っていたか」の問いに対して吉川さんは「父は酒が強くない分、甘いものが好きで、くず餅は好きだった。出版社や新聞社の人がよく土産にも持ってきてくれた」と話し、「ここの黒蜜がおいしいとパンにつけて食べていた」などエピソードも披露した。

 揮毫については「和紙をつなぎ合わせ、大きな板の形にかたどったものが編集者によって何枚も用意されていた。そして父は気分が乗った時に書いていたのを後ろから見ていた覚えがある。そんな大きな字を書くのを自分は見たことがなかった。中腰で膝をついてばばばっと書いでいた」と吉川さん。「小説に追われているときは機嫌が悪くなりとても怖くて近寄れなかった」とも。

 看板の大きさは6尺(1メートル80センチ)。ケヤキの一枚板に「船橋屋」と書かれている。現在、同店の喫茶スペースの壁に掲げられている。

 営業時間は9時~18時。

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